【映画紹介】ズーランダー ※ネタばれ
「ズーランダー」
・制作:アメリカ、2001年
・日本公開:2002年
・監督:ベン・スティラー
・ジャンル:バカ/アホ
※ネタばれ
※記憶で書いているため詳細誤りあり
場面はニュース映像から。どうやら米国で販売している衣服を、マレーシアなどの発展途上国にて不当な低賃金で製作していることが問題になっているようだ。
そして、暗い部屋で一人の男が複数人に詰問されている。
「マレーシアの賃金問題で騒いでいるやつらを黙らせないとお前のデザイナーとしての人生は終わりだ」
「一番先頭で指揮を執っているマレーシア首相をお前が殺せ。頭が空っぽのバカなモデルにでも暗殺させればいいだろう」
詰問されている男は叫んだ。
「いわれて暗殺するバカなモデルがどこにいるっていうのよ!!」
次に、一人の男がメイクルームで女性インタビュアーから質問を受けていた。
「デレク、あなたがモデルになろうと思ったきっかけは?」
「子供のころにスプーンにうつった自分の顔を見てね、そして思ったんだ。うわぁ、ボクの顔、超イケてる!ってね。それでプロになったんだ。」
「そう・・。それで、あなたのストロングポイントは?」
「まあ、ブルースティールが一番有名だけど、あとは、ル・ティグルとかかな?まあこれはソフトな感じで、靴とかのモデルの時に使うんだけど。」
モデルオブサイヤーを決定する式典のレッドカーペットでは、数々の著名人が、TVのインタビューでデレク・ズーランダー(ベン・スティラー)をほめたたえる。「彼は最高のモデルだ。」「彼の"ブルースティール"は完璧だ。」
メイクを終え、会場に到着したデレク。
「今年受賞すれば4年連続のモデルオブザイヤーですが、自信のほどは?」
「受賞できるって信じてるよ。自分は進歩し続けている。ブルースティールだけじゃなくて、"マグナム"にもとりかかっているんだ。今言えるのはここまでさ。」
しかし、今年はデレクのライバルがいた。ハンセル(オーウェン・ウィルソン)だ。
彼は飾らないスタイルで今一番勢いに乗っているモデルだ。ちなみにキックボードで移動している。
いざモデルオブザイヤ―の発表のとき。
読み上げられたのは、ハンセルの名前だった。
しかしデレクは3年連続受賞しているという圧倒的自信から、今年も自分が受賞したと勘違いしステージにのぼり受賞スピーチまで始めてしまう。会場はざわめくが、彼は気づかない。
「いやぁ驚いた、でも4年連続受賞できたのも皆のおかげだ。」
ここでプレゼンターに誤りを指摘され、驚くとともに悲しみステージを後にするデレク。
冒頭で詰問されていた男、トップデザイナーのムガトゥ(ウィル・フィレル)は気づいた。
「ここにちょうどいいバカがいるじゃない。」
デレクは失意のまま帰宅する。自宅の玄関に飾ってある身長ほどの大きなスプーンで自分の顔を見つめるが、そこにかつての輝きはない。
モデル仲間のルームメイトが用意してくれていた垂れ幕も「4年連続受賞おめでとう」の数字が消され、「3年連続受賞」に書き換えられていた。彼らは先に寝たようだ。デレクもそのままベッドに倒れこんだ。
翌朝、ルームメイトたちはデレクを元気づけようとするも、なかなか元気が出ないデレク。
「モデルはもっと人のためになることをすべきなんだ。勉強を教えるとか。」
敗戦を機に、モデルへの考え方が変わったらしい。
そこで仲間たちは提案する。
「君にいま最も必要なものを教えてあげようか?オレンジ・モカ・フラペチーノだ!!」
BGMにはWham!のWake Me Up Before You Go-Go が流れる。
オープンカーに乗りオレンジモカフラペチーノを飲みながらノリノリでドライブするデレク達。
給油するためにガソリンスタンドに寄ると、洗車用の水入りバケツを使って水の掛け合いが始まった。そのさなかデレクはゴミ箱に自分の顔が表紙の雑誌を見つけ、ゴミ箱へ歩いていく。雑誌はTIME誌で、先日メイク中にインタビューを受けた女性記者の記事だった。タイトルは「デレク・ズーランダー、間違え受賞、アホなモデル」。
車の方をみると、給油中だった仲間も水の掛け合いに参戦し、ノズルからガソリンをかけまくっていた。そして別の仲間がタバコを吸おうとライターをつけた瞬間大爆発しモデル仲間たちは死んだ。
モデル仲間たちの葬式で、デレクは自身のモデル引退を宣言した。
モデルオブザイヤ―での敗北と仲間たちを失ったことで、モデルとして活動する精神状態ではなくなってしまったのだった。
「なあ、モデルやめてどうするんだ?暮らしていけないだろう。悪いこといわんからモデルを続けるんだ」
デレクの事務所の社長のモーリー(ジェイリー・スティラー)はデレクを引き留めようとするが、デレクは断る。
「地元に帰るよ。モデルじゃない自分の人生を歩みなおすんだ。」
ムガトゥはデレク引退の一報を受けモーリーに連絡する。
「デレクを使わないとマレーシア首相を暗殺できないじゃない!なんとかして!!」
モーリーもムガトゥの一味だったのだ。
スーツケースをもち地元に帰ったデレク。
炭鉱夫の父親にもう一度チャンスをくれと嘆願し、なんとか炭鉱夫として働くことになった。
しかしモデルをやっていた人間がいきなり炭鉱で働けるわけもなく、トラブル続きで初日を終える。
仕事終わりに、父親と弟2人で酒場へ飲みに行き、炭鉱夫としてはやっていけないだろうと言われるデレク。
酒場で放映されているテレビのコマーシャルで、デレクが人魚の格好をして海を泳ぐものが放送されると、酒場は失笑に包まれた。
「本当に、なんで帰ってきたんだ。お前はもう死んだも同然だ。マーメイドの格好なんかして。」
父親に突き放されると、デレクは激怒した。
「父さんの誇れる息子になりたかったんだ。ボクだって好きでこんなに格好よく生まれてきたわけじゃない。それにこれはマーメイド(mermaid)じゃなくて、マーマン(merman)だ!」
店を飛び出すと、ちょうど電話がかかってきた。事務所社長のモーリーだ。
「NYに帰ってこい。ムガトゥがお前をモデルに使いたいと言っている。ムガトゥのモデルをやればすぐにまたトップモデルだ!」
NYに戻り、ムガトゥのもとに訪れたデレク。
ムガトゥはデレクを主役にしたファッションショーを開くので参加してほしいと言った。
しかしデレクはもうモデルは引退したことを告げる。
それを想定していたムガトゥはデレクにモデルを、いや、暗殺役をさせる準備をしていた。
「モデルをやってくれたら、あなたにはこれをあげるわ。」
それはデレクの夢だった、字の読めない子供たちに勉強を教える施設のミニチュアだった。
「これは・・・」
デレクは驚いた様子で、ムガトゥもご満悦だ。
「バカにしているのか!?」
デレクは激怒してミニチュアを破壊した。
「こんなちっぽけな校舎でどうするんだ!?子供たちはこんなに小さくない!アリだと思っているのか!?もっとこのサイズの・・・100倍はないと!」
ムガトゥはミニチュアがプレゼントだと思ったデレクが本当のアホだと確信した。
「そうよね。それじゃ小さすぎたわね。それじゃあ100倍大きなものを建てるわ。」
もちろん暗殺をさせた後に建てるわけはないのだが。
そのままファッションショーの準備のためと言われ、ムガトゥの部下のカティンカ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)と共に埠頭の施設に連れていかれたデレク。
一方、TIME誌の女性記者マチルダ(クリスティン・テイラー)は、ムガトゥのマレーシア違法労働問題を追っていた。
モーリーにムガトゥについて取材しに行くも、モデルオブザイヤーの翌日にマチルダが書いた記事の「デレク・ズーランダー、アホなモデル」のせいでデレクが傷ついたと取り合ってくれない。
ファッション業界の闇に阻まれながらも情報を追い続けるマチルダに非通知の電話が入った。
「ムガトゥのことが知りたいなら埠頭の16番倉庫にいけ。」
その一言だけで切られてしまったが、藁にも縋る思いで埠頭へ向かう。
マチルダが埠頭にたどり着き建物に忍び込むと、中でエステをうけているデレクと遭遇した。
「こんなところで何しているの?」
「それは僕のセリフさ。それに僕はムガトゥのショーに出るためにここで準備しているだけだ。」
会話をしていると、カティンカがデレクを迎えにきた。
「あんた、なんでいるの!ここは立ち入り禁止よ!」
あっというまに捕まったマチルダは建物から放り出されてしまった。
「二度とその三流ブランドで包まれた貧相な体でデレクに近づかないことね。」
罵詈雑言を浴びせられたマチルダだったが、やはりムガトゥには裏があると確信した。
デレクはカティンカに連れられ、洗脳ルームへ。
Frnkie Goes To HollywoodのRelaxを流しながらムガトゥに「マレーシア首相を殺せ!!」と言われ続けたことで、Relaxが流れると洗脳状態になり、拳法でマレーシア首相を殺すようになってしまった。
ドンドンドン!
ドアをたたく音でデレクが目覚めると、ドアの外にはマチルダが立っていた。
「デレク!一週間もなにしていたの?ずっと連絡していたのよ。」
「何言ってるんだ、さっきエステ中にあったばかりだろう。」
しかし日付はたしかにデレクの認識から一週間ずれていた。1週間洗脳され続けていたのだ。
「1週間たっていたとして、明日がショーだから今日は前夜祭に出ないといけないんだ。もう今日は帰ってくれ。」
デレクの部屋から会社に帰ってきたマチルダは、同僚からムガトゥのショーにでたモデルの不審死について聞かされる。
どうやらムガトゥはデレクのように使い終わったモデルについては暗殺して証拠隠滅してきたようだった。
過去の新聞記事を読んでいたマチルダはあることに気づく。
「事件の現場検証写真すべてに、埠頭で会ったあの女が映ってるわ!大変!」
マチルダはカティンカと関わりを持っているデレクも殺されることなると気づいたのだった。
その頃デレクはムガトゥのショーの前夜祭会場にいた。
モデルに復帰したデレクはモデル仲間と談笑していたが、そこにハンセルが登場する。
因縁の二人が出会い何も起きないはずがなく、売り言葉に買い言葉で二人は決闘することになった。
ジャッジはデヴィッド・ボウイ(デヴィッド・ボウイ)が行い、先行がランウェイを歩いた動きを後攻の者が同じようにできなければ後攻の負け、のルールで行うこととなった。
トップモデルの二人はお互いに引けを取らず、均衡していた。
終わりの見えない戦いに決着をつけるため、ハンセルが動く。
なんと、ランウェイ上で右手をつっこみ、ズボンを脱がずにパンツだけを脱いだのだ。
観客はどよめき、後攻のデレクを制止する声も聞こえる。
しかしデレクはここで降参する男ではない。果敢にランウェイにあがり、右手をズボンに突っ込んだ。
案の定パンツのみ脱げるはずもなく、デレクはハンセルにまたも敗北してしまったのだった。
マチルダは決闘が終了してすぐに失意のデレクを車にのせ、このままではカティンカに殺されることを告げた。
「別に殺されてもいいさ。くそハンセルに勝てないくらいなら死んだ方がマシさ。」
「そんなことないわ。ハンセルはただあなたに勝ちたくて決死の覚悟であの技を使ったんだから。」
デレクに慰めの言葉をかけるマチルダ。
「それなら左に曲がるだけでよかった。」
なんと、デレクは赤ん坊のころから左に曲がれないという障害を抱えていたのだった。
「この世には、一杯・・・いると思うわ。あなたにみたいに左に・・・・左に・・・曲がれない人も。」
プルルルル
運転中にマチルダの携帯が鳴る。
「答えがほしければ墓地にこい。」
またも一言だけ告げて切れた電話。
デレクとマチルダは真相を確かめるために墓地へ向かった。
墓地では一人の男が待ち受けていた。彼が電話の主のようだった。
「ここはモデルの墓場さ。昔から政府要人の暗殺にはモデルが使われてきた。」
電話してきた男は20年以上前にハンドモデルの世界トップとして名をはせたモデルだった。
彼も以前暗殺計画に巻き込まれそうになったが、気づいてその仕事から抜け出したのだった。
墓場で話しているとカティンカたちが襲ってきた。
明日のショーからデレクが逃げないように確保しに来たのた。
なんとか墓場から逃げてきたデレクとマチルダは、カティンカたちに見つからない場所を考え、ハンセルの家に行くことを決めた。
ハンセルの家を訪れると、やはり喧嘩腰の二人。
しかしお互いにつっかかる理由を聞くと、実はお互いがお互いをリスペクトしていることがわかった。ハンセルは実はあこがれていたスーパーモデル、デレクを家に招くことにした。
話し合ってすっかり意気投合した二人は、協力してデレクの首相暗殺計画を止めることになった。
翌日、計画はスタート。
ハンドモデルの男の助言に従い、事務所社長のモーリーのパソコンにある証拠データを警察に提出し暗殺の前にムガトゥを止めようとするマチルダたち。
デレクとハンセルは清掃員に紛争しモーリーの部屋まで忍び込んだが、パソコンのつけ方がわからない。時間が経過し、ショーに出る時間となったデレク。
モデルとしてのプライドから、暗殺するとしてもショーにはいなかくてはいけないらしい。
デレクはショーに向かったため、ハンセルは一人で電源のつかないデスクトップPCと向き合っていた。
マチルダに電話して聞くと、パソコンの中にフォルダが入っているという。
ハンセルは気づいた。なんだ、この箱の中に入っているだけなのか。簡単じゃあないか。
マチルダはオフィスでムガトゥについて調査を続けていた。
どうやらムガトゥはファッション業界に入るときに名前を変えていたようで、以前はFrankie Goes To Hollywoodに所属していたが、Relaxの発売前に脱退していたのだった。
そこでマチルダはデレクの洗脳スイッチがランウェイで流れる音楽に関係していると見抜いたのだった。
ショーの会場にはマレーシア首相も招待され、ランウェイの目の前の席が用意された。
後はデレクの順番を待つばかりだ。
デレクが登場すると、DJはRelaxのレコードをかけ始めた。
するとデレクは洗脳のスイッチが入り、拳法を披露し始める。
「そうよ!そのままやってしまいなさい!」
ムガトゥは興奮するが、そうはいかない。
ハンセルがDJルームに侵入し、DJを殴って曲を変えると、デレクの洗脳はとけ、ランウェイを引き返していった。
だがDJもそう簡単にひかない。ハンセルとブレイクダンスでの殴り合いをしながら曲をRelaxに変更する。
デレクがマレーシア首相の首をひねろうとしたとき、殴られて地面に倒れていたハンセルは、DJテーブルのケーブルを抜き、デレクは正気に戻った。
「デレクはムガトゥに洗脳されていたんだ!証拠はここにある!」
ハンセルはモーリーの事務所から持ってきたデスクトップパソコンを掲げた。
「お前はこれでおわりだ!」
ハンセルは2FにあるDJブースからパソコンを投げて、パソコンをぶっ壊した。
「あれ、中身がないぞ。」
そう、ハンセルはデータファイルが中にあると聞いて、パソコンをバラバラにすればファイルが出てくると思っていたのだった。
ムガトゥは驚きながらも勝ち誇る。
「証拠は今消えたわ!だからわたしを追求することなんてできないのよ!」
「もういい!証拠ならわしの書斎にまだある!」
デレクと二人で事務所を大きくしてきたモーリーは良心の呵責に耐えられず、ここですべてを終わらせようとした。
敗北となりやけになったムガトゥは、切れ散らかす。
「ここで計画を完遂できなかったら私の人生意味がないじゃない!あんな馬鹿なモデルに頓挫させられるなんて!何がブルースティールよ!何がル・ティグルよ!全部同じ顔じゃない!あんたがやらないなら、私が計画を完遂するわ!賃金アップ反対!」
ムガトゥは腰に差していた手裏剣をマレーシア首相に向けて投げる。
「どれも同じだと?よくも言ってくれたな!」
デレクはとっさに首相の前に立ち、ムガトゥの方へ振り返ってキメ顔をする。
ハンセルは叫んだ。
「ついに出た!マグナム!!」
モーリーは興奮する。
「いいぞデレク!その技を待っていたんだ!」
酒場のテレビで中継を見ていたデレクの父親は思わず口にした。
「かっこいい!」
そして手裏剣を投げたムガトゥは感動していた。
「おお神様・・・なんと美しい・・・」
マグナムのあまりの美しさに、手裏剣はデレクの目の前で止まり、落下した。
開場は拍手喝采だ。
ムガトゥは警備員に取り押さえられ、デレクの父親は酒場で騒ぐ。
「あれは俺の息子だ!」
マチルダとデレクは抱き合い、キスを交わしたのだった。
そののち、デレクは「デレクズーランダーセンター」として、字の読めない子供や、そのほか学習したい子供のための教育施設を作った。
ハンセルやモーリーはそこで講師として活動している。
マチルダとデレクの間には子供が生まれていて、キメ顔をひとつ覚えたのだった。
~完~